こどもエコー外来
腹部スクリーニングエコー検査
子供は生まれたときに先天性代謝異常のマススクリーニング検査を受けます。これは病気を早期発見、早期治療することを目的に全ての子供達に行われています。しかし今のところ、腹部疾患のスクリーニングとしてエコー検査は行われていません。
子供の検査として腹部エコーはあまり馴染みがないかもしれませんが、成人では腫瘍の早期発見に検診でエコーが利用されるようになってきました。子供の悪性腫瘍は成人と比較すると多くはありませんが、1歳以上の小児の死因の第2位が小児癌(1位は不慮の事故)であることから、子供にとっても悪性腫瘍は無視することが出来ません。その中で腹部腫瘍は、白血病や脳腫瘍などと比較して症状が出にくく、一般血液検査でも異常とならず、多くは巨大な腫瘤となって始めて発見されています。エコー検査を受けることで無症状の腫瘍を早期発見することが出来ます。
また水腎症や先天性胆道拡張症など、表面からは分からない異常の有無についても検索することが出来ます。実際に、繰り返す腹痛があり便秘として経過をみられていた子が、エコーで先天性胆道拡張症と診断された例もあります。
検査は10~15分かけて腹部の臓器(膀胱、腎臓、肝臓、胆嚢、すい臓、脾臓)に病変がないかをスクリーニングします。また気になる部位(首のしこり、鼠径部の脹らみなど)があるようでしたら、その部分も観察します。被曝はなく、基本的に絶飲食は不要で、入眠剤は使用しません。
自費にての検査になります。検査料金 5000円
お電話・WEBで御予約ください。毎週水曜日におこなっています。
股関節エコー検診、腎エコー検診
乳児股関節脱臼および先天性腎尿路奇形の早期発見を目的として、生後1か月~6か月のお子様を対象にエコー検診をしています。
(腎エコーは年齢制限はありませんのでどの年齢でも検診可能です)
痛みや被曝はなく、基本的に絶飲食は不要で、入眠剤は使用しません。
検査日 : 毎週水曜日(予約システムでご予約ください。初診の方は電話にてお問合せください。)
検査時間: それぞれ約5分
検査費用: 1000円(股関節エコー 500円 、腎エコー 500円)
*一部保険適応となる場合があります。
*股関節エコー、腎エコー単体の実施も可能です。
*予防接種と同時にエコー検診も可能です。同時に希望されるかたは、予防接種で予約をしていただき、来院時に受付へエコー希望とお伝えください。
《乳児股関節脱臼》
大腿骨頭が骨盤のくぼみから外れた状態。
出産直後から完全に脱臼していることもありますが、大部分は未成熟な骨盤のくぼみが原因で徐々に脱臼へと移行することが多く、正式名称は「発育性股関節形成不全」といいます。
股関節脱臼の多くは開排制限(股関節の開きが悪い)や鼠径部・大腿部のしわの非対称から疑われます。しかし、これらの所見を認めない例も存在しています。グラグラせず、痛みもないため気づかれにくく、放置すると歩行障害、さらに成人の変形性股関節症の原因になります。
早期発見・早期治療が重要で、生後6か月までなら装具で整復できることが多いです。
頻度:1000人当たり1~3人。
特に、下記のリスク因子がある赤ちゃんにおすすめしています。エコーは、脱臼のほかに、股関節の発達具合を評価できます。
〔リスク因子〕
①女児
男児より関節が柔らかいため。男女比 1:5~1:9。
②家族歴:母親、祖母、姉妹、叔母、いとこなど血縁者の股関節疾患
骨盤の形は遺伝的要因と関連しているため
③骨盤位(逆子)
子宮内で両足を伸ばしている姿勢をとることが多いため
※生後7か月以降は骨頭の骨化が進みエコー検査が難しくなるため、生後6か月までの赤ちゃんを対象とさせていただきます。
《先天性腎尿路奇形》
水腎症、膀胱尿管逆流症、低形成腎、嚢胞腎など様々な病気の総称です。
軽度の水腎症や膀胱尿管逆流症は自然軽快することが多く、過度の心配は不要です。しかしグレードの高いものは専門医による管理が必要です。最も重要な合併症は腎機能障害で、透析を導入する小児の末期腎不全の原因として最多です。
予後改善のためには早期発見し、長期的かつ適切なフォローアップが重要です。
胎児エコーをきっかけに発見されることが多いですが、乳幼児以降に発見されることも稀ではありません。
日本では、先天性腎尿路奇形の発見を主な目的として、3歳児健診にて検尿が行われています。しかし、検尿では異常を呈さない例も多くあります。診断にはエコーが有効で、当院ではこれまで異常を指摘されていない赤ちゃんも含めすべての赤ちゃんを対象として早期発見に努めたいと考えています。